ユイカの教室を出てから、

俺の足は、学校を出て、

ユイカとの思い出がつまった

桜の下に来ていた。

「…まだ、咲いてないな。」

ユイカは物心ついた時から、

桜が嫌いだといった。

皆が、美しいと愛でる桜を、

彼女は、見たくないと言った。

いつだったか、

この桜を見上げ、ユイカは

桜が嫌いな理由を俺に教えてくれた。

「ハートに見えるの、桜の花びら。
散るトコなんて見たく無いんだよ。」

その言葉を聞いたとき、

ユイカがとても美しく見えた。

他の人には分からない桜の世界を

彼女は見ている。

そう考えたら、いつしかユイカの世界に

自分も居れたらと思うようになった。

ユイカの一番でなくても、

例え、幼なじみという形式であっても、

彼女の世界の片隅に居れれば、

それだけで良いと思って…



「…そうだな。」



俺は自分の気持ちを改めて理解した。


「桜は、花が咲かなきゃ散れないよな」


少し図々しくたって、

彼女の一番でなくたって、







俺は、俺の花を咲かせてみせる!