「ユウ、一緒に帰ろ?」

「おぅ!」

四月になり、桜の蕾が花を開かせた頃

いつものように、俺達は、

桜並木の坂を自転車でかけおりた。

「うわぁ!風が気持ちいいー」

「あんまりはしゃいで落ちんなよ‼」

「ユウが、落とさなきゃ大丈夫だよ!」

「じゃあスピードあげるぜぃ!」

「きゃーっ!」

知らない人から見れば、

バカップルのように見えるだろう。

しかし、俺とユイカは、

幼なじみという形式だけで、

それ以上を俺は望むが、

ユイカは望まない。

「スピード落ちたよー?疲れた?」

ユイカが後ろから俺をのぞく。

うっ…///

自転車が少し揺れる。

この登下校だけが、

ユイカが俺だけをみてくれる時間。

(だってコイツは…)


--数日前


俺は、友達に借りた教科書を返しに


ユイカの教室へと向かった。


「ねぇーユイカってユウくんと
付き合ってるの?」

「えっ⁉違うよー(笑)
ユウはただの幼なじみっ!」

…教室に入る前に、

俺はその場を去った。

『タダノオサナナジミ』


その言葉が辛かった。