午前1時32分。
俺は一足先に現場に来ていた。

「嫌な雰囲気だな…」

俺の目の前には暗く、重苦しい雰囲気が工場を包んでいた。

「うぜ…」

思わず舌打ちをしてしまう。

~♪

携帯が鳴る。
電話をかけてきたのは、華音だった。

「どうした?」

『…様子が変だったから、ちょっと気になったの』

「俺より綺羅に聞けよ」

あいつらは綺羅の家の関係者で、綺羅とかなり親しかった。
綺羅が一番気にしているに違いなかった。

『もう連絡したわ。かなり焦燥してるみたい…』

「だろうな…。…連中の目的は一体何なんだ…」

俺はそう言って、チッと舌打ちをした。

『悠希…』

華音はつらそうに俺に声をかける。

「んー?」

『無茶はしないでね…』

「わかってる。お前もな、華音…」

『当たり前じゃない。…それじゃ、またあとでね』

「ん。」

プツンと電話が切れた。
華音は腹黒いけど、優しい子だし、ハルはいつも笑顔で、キラキラしていて。
こんな仕事、あの子たちには似合わない。
勿論、綺羅もだけどね…。

「傷付くのは、俺だけでいい。恨まれるのは、俺だけでいい。悲しむのは、俺だけでいい。…あの時みたいに…誰も死なせはしない…!」

ギリ、と手を握った。


――…午前1時53分。
7分前に集まった俺達は、普段から制服だけど、仕事の時ばかりは違う。

「集まったな」

黒と迷彩を中心にした、戦闘服。
身を隠すフード付きコートは黒、中の服は迷彩。
コートの中には全ての武器が隠されている。

「…行こう」

俺の合図で全員が頷く。

「許さない…」

綺羅が小さく呟いたのを、俺は聞いていた…。