「茶二つと団子四つ」
「まいど。」


茶屋の席につき、僕は間入れずに注文を通す。


「………涼介、君いつまでついてくる気なの?」
「さぁ。決めてない。僕の気が済むまで。」


僕の返答に紅陽は肩を落とす。


「俺は旅をしているんだ。家族は?ご両親が心配するよ。」
「………いないよ。」



そのタイミングで茶と団子が運ばれてきた。


僕は茶を口に含む。



「………僕は捨て子なんだ。このご時世珍しくもないだろ?」


紅陽は何の反応もせず、茶を一口飲んだ。



「――なら気が済むまでついてくればいい。」



紅陽はそう言って微笑んだ。



「ところでアンタは何かを探してるんだろ?一体何を探してんだ?」
「ん?うん。そのうち分かるよ。」


子供騙しのような解答に、それ以上口を開くことはないと言うように、紅陽は団子を食べ始めた。