桜木が並ぶ道を青年が一人、必死に走る。
――ヤバい、ヤバい、ヤバい。捕まったら殺される!!!!!!!
後ろから迫り来る男たちは、皆刀を手にしている。
今捕まったのなら死は確実だろう。
それが分かりきっているから青年は土砂道も気にせず、裸足で走り回る。
事の発端は数分前。
青年は空を仰ぎながら、道を歩いていた。
前方不注意で青年は一人の男にぶつかってしまった。
なんて事無い問題で、謝罪の一つで済むかと思いきや、ぶつかった男の機嫌が悪かった。
男はすごい剣幕で青年を責め立て、
「その命をもって償え!」
と言い放った。
たかだかこれしきの事で人の命を奪えるのか?
それが出来るのが、この戦国時代である。
――これは悲しき時代を生きた、青年たちの物語である。