少女の後ろには、息を切らした老人の姿。


「爺……」
「姫様!もう逃がしませんぞ!」


老人はズカズカと少女に歩み寄り、腕を掴んだ。


「嫌よ!離して、爺!!」
「なりません!また城を抜け出して……親方様が心配しておられますぞ!」
「いいじゃない、少しぐらい!私だって外の世界を見てみたいわ。」



どうやらこの少女は何処かの城の姫様らしい。


僕と紅陽は目を合わせて肩を竦めた。


「さぁ、帰りますぞ!」
「嫌ーぁ!」



見るに見かねて紅陽が口を開く。


「あのぉ」
「何ですかな?」


老人は、さも機嫌悪そうに紅陽を睨んだ。



「少しぐらい自由にさせてあげてもいいんじゃないですか?」


紅陽の言葉に少女は目を輝かせた。



「何も知らぬ御主などに言われる筋合いはない。外の世界は、姫様にとっては危険すぎる。」


老人は全くもって聞く耳を持たない。



「もう爺の分からず屋!」
「これも姫様のためですぞ。さあ、城へ。」



老人は少女を引っ張り、歩いて行こうとする。


「じゃあ、こういうのはどうでしょう?」



と、紅葉が一つの提案を挙げる。