彼――鳩羽は最下層の管理室に居る。
彼にも特殊な能力があるらしいが、詳しいことはよく分からない。私が知っている彼の能力は、現世への道を開くことと、私達死人の中から能力を持っている者を探し、開花させること。それだけだ。
いつからここに居るのかも知らない。瑠璃とはまた違う意味で、真意が見えない人だ。寡黙で、厳しい、そんな印象を受ける。
「鳩羽様、二藍です。入ってもよろしいでしょうか?」
管理室のドアの前から声をかける。勝手に入ってはいけない決まりなのだ。中で一体何をしているのか――知る由も無い。
「――――入りたまえ」
低い声がゆっくりと聞こえた。お許しをもらえたので、失礼しますと言い中へ入った。
管理室には、大きな机と黒い回転式の椅子しかない。しかしスペースは広く、いかにも偉い人の部屋といった感じだ。
彼はいつも椅子に座り、憂鬱そうにしている。
「二藍、人間を連れてきたそうだな」
瑠璃から聞いたのか、それとも彼の能力で知ったのか――。どちらにせよ、報告する前に知られていたとなると、良い気分にはならない。
