私は瑠璃に背を向け歩き出した。
「どこに行くの?」
後ろから瑠璃の声が聞こえる。
振り返らすにそれに答えた。
「彼のところ。――私の独断で人間をここに連れてきてしまったからな。指示を煽りに行く」
「ふうん、人間……。まだ死んでないんだ。でもここに居るってことは――」
「――彼女は生きる。きっと――」
瑠璃が私の横に並ぶ。
「へえ、ってことはその“彼女”ってのが、君の会いたがっていた人間か」
「……いいだろ、別に。瑠璃は関わらなくていい」
「別に関わる気なんてないけど――暇つぶしにはいいかもね」
瑠璃の言葉に思わず過剰に反応してしまった。
「瑠璃っ! 関わるなと言っている!」
瑠璃は驚いた素振りを見せたが、平気な顔は崩さない。
「そんな顔するなって。悪いことはしないよ」
