蒸発島


「ねえ、だからさ、幽霊が嫌いな人間のために、僕達を使って幽霊退治をしてるんだよ」
「……瑠璃は彼のことが好きじゃないのか?」
「鳩羽を? 何故?」
「鳩羽って呼んでいる。彼を名前で呼ぶのは瑠璃しか見たことが無い」
「それだけ?」
「……。彼の命令に忠実だ。私は彼の命令なんて聞きたくない」

 瑠璃はまたふふんと笑った。
 その顔は哀しげで……自嘲気味だった。

 何故そんな顔をするのか。
 私には分からない。
 何年も一緒に居た彼女のことですら、
(……無知とは罪だな――)