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 私には使命があった。
 しかしそれは私にとっては大して意味もなく、寧ろ辛い過去を――傷痕を、ほじくり返されているようにしか思えなかった。


 私はまだ幼く、知識も少ない。彼のことはよく知らないけれど、病院で一番偉い人だということだけは理解していた。


 私には変わった力があった。それはとても珍しい力なのだと彼は言った。私にはよく分からないことだったけれど、もう一度あの時の彼女――風子に会えると知り、彼から任された使命をしばらくの間全うしてやろうと思った。