やはりドアを開けてみよう。
何が出てきても、平然としていよう。こんな場所に一人で孤独を味わっている方が嫌だ。そうだ、こんな、
(こんな場所は、ひどく胸騒ぎがする――)
怖いのだ。このなんとも言えない静寂が重く私にのしかかってくる。それに加えて水、生ぬるいというか、まったく知らない人と密着しているかのような気持ち悪さがある。
目の前のドアに手をかける。
ごくり、と喉から大きな音がした。
力を込めた手は汗ばみ、体が燃えるように熱い。
(ああ、私は緊張している……、今頃学校へ行っていたはずの私が今、訳の分からない病院のドアを開けようとして……)
何か言い訳を探していた。
学校に行かないための言い訳。それはまだまだ続くのであろう学生という名の縛りから、それそのものから逃げてしまいたかったからだ。
