蒸発島


「ねえ二藍、どこまで行くの? 私……少し疲れてきた」

 何処を見ても変わらない景色に酔ってきた。なんだか同じところをぐるぐると回っているようで……。
 それから水の温度。今水の中に居るんだ、という実感が湧かない。水の感触がなく、ただ重力が現世よりも重いだけのようにも思える。
 この水が薄い青色をしているのも悪い。視界がぼやけてくる。朝起きて、夜見た夢を思い出した時の……、ぼんやりした風景、はっきりと思い出せない詳細、そういう膜に包まれた夢の世界を見ているようだ。

 何もかもが重く、怠い。動くことさえ辛く――――。