少し歩くとやっと光を見る事が出来た。
さっきの団体はもう居らず、一人の女の人がいた。何を探しているのだろうか?
30代くらいかな?きれいな人だ。と第一印象は受け止めた。
冷えたスポーツドリンクを手に持ってレジでお金を払う。
横目でその女の人を見ながら売店を出ようとした。が止められた。
「あの…すいません」
「はい?」
「持つの手伝ってもらっていいですか?」
後ろを振り返れば、両手に大きな袋を持ったその人がいた。
「いいですよ」
そう言って、両方の袋を持つ。
「片方でいいんですよ」
「いえいえ。大丈夫ですよ」と少し無理をして持つ。
中には菓子類やジュース類が多々詰められていた。
「あなたは元気でいいですね」
「そうですか?」
「私にもあなたと同じくらいの子どもがいてね」
「入院されてるんですか?」
「えぇまぁね」
「あ、何階ですか?」
エレベーターの前に着いた。ボタンを押そうとしたが「乗らなくても大丈夫」と答えられたので無理矢理上げた腕を下ろした。
「病室って上じゃあ…」
「娘はちょっと普通と違うと言うか…とにかくこの階なの」
売店とは反対方向の薄暗い廊下に足音を響かせながら歩く。
「ここです」
緑のランプに染められた扉を開いてくれた。
振り向けば、売店の光が小さな点になっていた。