下駄箱へ急ぐあたし
さすがのあたしでもこの暗さはなんだか不気味…
「遅い」
へっ…………?
この声
低いトーンで、一言一言に重みがある。
はっきり聞き取れる、
あたしの大好きな人の声
「アサ、ヒ?」
「俺以外、誰がいるんだよ」
下駄箱にダルそうにもたれかかって、
うつ向きながら話してる
その姿がすごくカッコよくて、思わず見とれてしまった
「先に帰ってて良かったのに」
アサヒの顔をまともに見れず、自分でも分かるほど顔が火照ってしまった
あんなカッコいいことをサラッとしてて、アサヒはずるい
あたしの心臓もちません………
「こんな暗い中、女一人で歩かせる訳にはいかねぇだろ」
ほらね、またそういうこと言う
どれだけあたしをドキドキさせれば気がすむの
「……ありがとう」
「ん、帰るぞ」
アサヒの顔が赤い……?
気のせいかな?なんて思ったけど
あたしの目にはアサヒの真っ赤に染まったキレイな顔が見えた
アサヒ、かわいい
「顔、赤いね」
「ち、ちげーよ
これは、ちょっと暑くてだ!」
「ふーん、図星ね~」
「だから!ちげーってば!!」
「アサヒかわいい~~~」
「その口ふさぐぞ」
「なっ………!」
「ほら、アオはすぐ赤くなる
早く歩けよ、おいてくぞ」
「もお!アサヒのバカーー」
「バカ言った子にはお仕置き」
ちゅっ
わざと音をたててキスしたアサヒ
「アオが俺に歯向かうなんて100年早い」
「………ずるい」
アサヒに聞こえないようにボソッと呟いた
本当にアサヒはずるい
いつもあたしがドキドキすることをする
あたしの心を読み取っているかのように
「俺はずるくないから」
「えっ」
「だから言ったろ?
俺に歯向かうことはできないって」
「うぅ…………」
「もっとずるいことしてあげよっか?」
そう言ったアサヒは自分の手を伸ばしてきた
「手、繋ぎたいんだろ
だったら、早く繋げよ」
いつもこう。
あたしがやりたいことを一番に分かってくれる
今だって手を繋ぎたいって内心思ってたし。
あたしはそっとアサヒの大きな手に自分の手を重ねた
「あったかいね」
「うん」
「アサヒー、好きーー」
「それ反則だから」
「え?」
「もういい」
「変なの~」

