二人の間の空気が和んだのが分かった。

かまたさんはココアを少し飲んでから口を開いた。

「実はあれ、誰かに送るつもりはなくて。独り言のようなものです」

ときどき、かまたさんはいろいろと発見するらしい。

鼻水をたらしていた猫がいただとか、葉っぱの虫食いがきれいなハートマークになってただとか。

「よく考えたらどうでもいいことなんですけど、見つけたその時は本当に感動するんです。それで、誰かとこの気持ちを共有したいなぁって思うんです」

今すぐ分かち合いたい——自分が発した言葉を思い出す。

あの時と同じような感覚を、かまたさんはしょっちゅう感じているのか。

うらやましい、と自分が感じていることに驚いて、とりあえず目の前のコーヒーを口に含んだ。