はじまりは、一通のメールだった。
理由はよく覚えていないけど、そのとき私は泣いていた。
泣いても泣いても泣き止まなくて、高校生のくせに情けない、と思って余計泣いた。
涙を拭いたティッシュをゴミ箱に入れようと手を伸ばしたら突然、目の前に転がっていた携帯が震えた。
ティッシュを捨てた手を戻し、鼻をすすりながら開くと、メールが届いていた。
【From:蒲田夏帆】
一瞬「誰だっけ」という思考が脳の中を駆け抜ける。
…あぁ、同じクラスのかまたさんか。
たしかこの前の校外学習で一緒の班になったから連絡先交換したんだっけ。
おとなしいかまたさんは同じような女の子たちといつも少人数でかたまっていて、どちらかというと大勢でわいわい騒いでるほうが多い私とはまったくといっていいほど接点がない。
そんなかまたさんが、いきなりどうしたんだろう。
しかも初メールだ。
