もしかしたら…、リョーヘイかもしれない!!


 「ちょっ…待っ…」


「笹川?」


キリヤの疑問の声を無視して、あたしは髪を振り乱し走った。

角を曲がってあたしは叫んだ。

「リョーヘイ!!」


でも、その声は届かずただ響いただけだった。


曲がった先は誰もいない。


 …見間違い…か…な?


もう、あたしダメだなぁ。


リョーヘイの背を追いすぎて、リョーヘイがいなくちゃ…。


 目がかすむ。


足元がぐらつく。


冷たい雨が心に降って、
目から溢れ、頬へと流れた。


 しっかり…しなくちゃ…。


ぎゅってにぎりしめて、
涙を拭いた。


「笹川、何してんの?
いきなり叫ぶし。
こっち見られるわで恥ずかしかったんだけど」


キリヤが、苦笑しながら話しかけた。


「う…、うん。
ごめん。知り合いに似ていたの…」


「??
叫ぶ程なんて余程、会いたいやつなんだな」


キリヤが苦い顔をした。