「私のこときらいなのに、心配して優しくしてくれるんだね。……そういうとこ、すきだよ」


「は……」



「……あっ、また告白しちゃった。ごめんね」


えへへ、と恥ずかしそうに笑う雪岡に。


……何も、言葉が出てこなかった。



「水無月くん?」


何も言わない俺に、雪岡は不思議そうな顔をして首を傾げた。


ふわりと、初秋の涼やかな風に煽られて雪岡のまっすぐな黒い髪が揺れる。


ドクン、と。


強く脈打つ心臓の音がさっきより大きく聞こえるのは気のせいだろうか。



「どうかした?……そんなにいやだった?ごめ」


「違うから。……なんでもない」