「……雪岡って、電車通だっけ?」
送る、とは言っても、雪岡がどこに住んでいるのか知らないことに学校を出てから気が付いた。
雪岡はぼんやりした表情のまま俺を見上げると、コクリと頷いて駅の名前を言った。
偶然にも、俺と同じ最寄駅。
今まで一度も会わなかったけど、実は同じ電車に乗っていたのかもしれない。
「じゃあ……、行くか」
つないだままの手を引っ張って歩き出そうとすると、微かに抵抗された。
何だと思って振り返れば、戸惑ったような表情で雪岡が俺を見ている。
「どうした?」
「……手」
「……は?」
「手、このままでいいの?」


