このみちゃん、これ本当に全部食べる気なのかな……!?
驚いているのは私だけじゃなくて、向かいにいる水無月くんもあとからあとから出てくる美味しそうなお菓子に目をぱちくりさせていた。
「……吉倉って見かけによらず結構食べるんだ」
ぽつりと呟いた水無月くんに、このみちゃんはからからと笑った。
「あはは、あたしが全部食べるわけないじゃんっ!色んな種類をちょっとずつ食べるの!余ったのを食べるのは男子の役目だよ?」
至極当たり前のようにそう言って、可愛らしく首を傾げたこのみちゃん。
その手はバリッと菓子パンの袋をあけていた。
「ちょ、このみんそれ今食べるやつだったの!?」
一緒に買いに行ったはずの今野くんでさえ驚いている。
「当たり前じゃん、今食べないでいつ食べるの?」
「……」
何変なこと訊いてるの、とでも言いたげなこのみちゃんの口調に、もはや尊敬の念すら感じて、誰も何も言えなかった。


