シュガーメロディ~冷たいキミへ~



「ただいまーっ!」



『どうして』と訊く前にガラッと教室のドアが勢いよく開いて、そうすることはできなかった。


ジュースを買いに行っていたこのみちゃんと今野くんが戻ってきたのだ。



「はいっ、梨音はオレンジだよね」


にっこり笑って、紙パックのオレンジジュースを差し出してきたこのみちゃん。


「……ありがとう」


受け取って頑張って笑顔を作ってみたけど、どうやら無理しているのはこのみちゃんにはバレバレだったようだ。


教室に戻ってきたときの笑顔を、一瞬で心配そうに曇らせた。



「……何かされた?」


小声でそう訊かれ、私はふるふると首を横に振る。


だって本当に何もされていない。


冷たいのはいつものことだし、冷たくされた理由が余計に分からなくなって悲しくなったことだって私の問題で、水無月くんが悪いわけじゃないから。