できるだけ出費を抑えたいからって、飾り付けや当日の衣装は始めから出来上がったものを買うよりも、家から持って来たものや手作りのものが多い。


自慢じゃないけど、お裁縫なんてこんなに本格的にやったのは初めてだ。


小学生の頃、夏休みの工作で小さなマスコットくらいなら作ったことがある。


家庭科の授業で作った使い道のわからないバッグだって、ちょっと不格好だったけど、ちゃんと作れた。



……だけど、こんなふうに服を縫うのなんて初めてで。


なんのひねりもないエプロンだったらよかったのに、なんでこんなに複雑なフリルがついてるの。


当日までにちゃんと出来上がるのか、今から不安だった。



「……」


黙々とただの白いエプロンにフリルを付けていく私の向かいの席では、当日の当番表を作っている水無月くん。


水無月くんの視線は手元の紙とペンに向いていて、まるで私のことなんか見てくれない。


……見てほしいなんて今更思っていないけど、まるっきり無視されると、それはそれで辛いよ。


このみちゃんと今野くんがいたときはあんなに楽しそうに笑ってたのに、ふたりが教室を出ていったとたんに、黙っちゃうなんて。