『うん。すっごく美味しい』
不意に、さっき坂井に「見惚れていた」と言われたときの雪岡の笑顔が脳裏によみがえってきて。
……それと同時に、面白いくらいピタリと、再び鳴っていた音が止まった。
「……」
なんだよ、これ……。
自分で自分が分からなくなりながら、皿の上のワッフルを完食する。
なんかもう、思考が違うところに行きすぎて、ワッフルの味なんて全然わかんなかったんだけど。
何なんだよ、俺。
これどういうこと?
意味わかんねー……。
「……ん、水無月くん」
「えっ!?」
急に隣から声を掛けられ、びっくりして肩がびくりと跳ねた。
ハッと我に返れば、いつの間にか向かいに座っていた坂井の姿がない。
隣にいた雪岡も、荷物を持って立ち上がっている。
雪岡は、困ったように俺を見ていた。


