「いやぁ、別にー?……航でも女子に見惚れることってあるんだ?」
「は?」
「俺の言葉が耳に入らないくらいって……、ぷぷ、天下のモテ男もウブなとこあったんだねぇ」
「な、何言ってんだよ、お前はっ!?」
見惚れてたって……、俺が、雪岡に!?
「ないから!天地がひっくりかえっても絶対ない!!」
「……どうしたんだよ、航。お前動揺しすぎ。つか、言い過ぎ。
お前、こういうの上手くかわせる奴じゃなかった?」
「え」
呆れたような坂井の声に、ハッとして隣を見る。
「あ……」
泣きそうな顔をした、雪岡がいた。
なんかさっきも似たようなことした気がする。
坂井の言うとおりだ。
いつもならこういう冗談だってもっと上手くかわせるのに、どうして雪岡が相手だとムキになってしまうんだろう。


