テーブルに近づくにつれ、もう皆が食べているのがご飯ではなくデザートだということに気付いた。
雪岡が、イチゴソースとたっぷりの生クリーム、そしてアイスの添えられたワッフルを口に運ぶのが見える。
そして、まだ懲りずに雪岡にことあるごとに話しかけている坂井。
遠くからでは何を話しているのか分からなかったけど、テーブルのすぐ近くまで来て、坂井の楽しそうな声が耳に入るようになってきた。
あー、この頭に流れる音、どうにかならないのかな。
本気で辛いんだけど。
雪岡がいるだけでこうなってたんじゃ、俺、これからの活動中ずっと機嫌悪いままになりそう。
そんなことを思いながら、丁度坂井の隣まで歩いてきた時だった。
雪岡が戻ってきた俺に気付いて席を立とうとしたが、それより前に坂井が雪岡の名前を呼ぶ。
「それ、美味しい?」
すると、坂井の声に答えて、雪岡は幸せそうに笑った。
「うん。すっごく美味しい」
「……っ」
────ドクン、と。
心臓が、不意に大きく揺れたことに驚く。


