メールチェックにちょっと席をはずすだけのつもりだったのに、これじゃあまるで逃げてきたみたいだ。
やっぱり、ちょっとムカついた、なんて感情で軽はずみに行動したのが悪かったな。
……雪岡もめちゃくちゃ驚いてたし。
もう一度、深いため息をついて、スマホの画面に指を滑らせる。
けれど、きていたのはどうでもいいようなメルマガばかりだった。
どうしてか、普段ならそんなに気にならないその派手な色使いが、今日はやけに気分を逆撫でるような気がする。
スマホをポケットに戻して、意味もないため息をもう一度。
……いつまでも自分を制御できない感情が燻っていることにイラつく。
いつまでも弱いままの自分がムカつく。
はあ。
何度ため息を吐いても心の中が晴れることはなく、圧し掛かってくるのは、鈍く重い痛み。
その痛みは引く気配がなくて、だけどこのまま皆のところに戻らないわけにもいかなくて、俺はもう一つため息を吐き、寄り掛かっていた壁から背中を離しテーブルに戻ろうと歩き出したのだった。


