向かいに座る、今雪岡と楽しそうに話しているのは、隣のクラスの坂井修(さかい しゅう)だ。
坂井がこんな風に女子に絡むの珍しいな、と思いながらカレーをスプーンですくい、口に運ぶ。
……あ、いや待てよ。
そういやコイツ、前々から雪岡のこと可愛いとか言ってたっけ?
友哉ほどじゃなくても、それなりに女の話はしてたっけな。
音楽科で一番可愛いのは誰とか、クラスなら誰派とか、普通科なら……とか。
『音楽科なら断然雪岡梨音だな!』
なんて、やけに生き生きとした顔で語っていたのを思い出した。
ふーん……。
じゃあ、坂井にとってはこのカフェ担当はあながちハズレクジでもなかったってことか。


