シュガーメロディ~冷たいキミへ~



「つか、航のカレーめっちゃいい匂いするんですけど」


向かいからそんな言葉が飛んできて、思わず笑った。


だよな、食欲をそそる匂いといえば、やっぱりカレーが最強だ。



「超うまい」


「うん、匂いだけでわかるわ。……雪岡さんは?それ、どう?」



なんとなく、奥に向かい合わせに座った女子ふたりと、通路側に座った3人で会話がバラけてしまった。


それまでただ黙々と皿の上のパスタを口に運んでいた雪岡が、話しかけられたことにびっくりしたように顔を上げる。



「あ、美味しいです」


なぜか少し恥ずかしそうにそう答えた雪岡。


「なんで敬語?タメでいいよ」


「あ……、そっか」


「つか、雪岡さんってすげー顔ちっちゃいね」


「あはは、そんなことないよ」


まさか、とパスタを食べる手を止めて笑う雪岡。