「……別に、本当のことだからいいだろ」


「ええ!?航がそんな言い方するなんて珍し……、って違う違う!!
リオりん、こいついつもこんな感じだから気にしないでね!!」


慌てて言い直した今野くんだけど、それが本当じゃないことくらい、私にだってわかる。


……水無月くんがこんなふうに冷たく突き放すなんて、やっぱり私に対してだけなのかな……。



「……うん、気にしてないから大丈夫」


心配そうに私を見る今野くんに、無理やり笑顔を作った。




「ねー!何してるの、早く入ろうよーーっ」


私たち以外は、もう目的のお店の前にいて、ひとりがそう声を上げた。


「あ、ごめんごめん!今行くーー!」


今野くんと水無月くんが呼びかけに答え、駆け足になったのに倣って、私とこのみちゃんも駆け出した。



「……梨音、大丈夫?」


心配そうな色を宿した瞳で、このみちゃんが走りながら私の顔を覗き込んできた。