「ったく……」
はあ、と再びため息をつかれ、悲しくなった。
ふたりになったときの水無月くんは、やっぱり皆といるときの彼とはどこか違う。
……私だから、イライラするの?
私だから、きつくあたるの?
そんな思いが心を覆い、しゅん、と更に俯いた時だった。
「わあああっ!ちょ、航、その手なに!?」
急に前から興奮したような声が聞こえてきて、私は思わず顔を上げた。
視界に飛び込んできたのは、私と水無月くんを驚いたように見る、今野くん。
その手、って……?
言われた言葉を心の中で繰り返してようやく、自転車を避けるために水無月くんに掴まれた肩が今もまだそのままだったことに気付く。
これじゃあ、傍から見たら肩を抱かれてるみたいに見えるよね……!?


