「もしかして、音楽科ってあたしと梨音だけ?」
全員がクラスと名前だけの簡単な自己紹介を終えて、ふと、このみちゃんが首を傾げてそう言った。
その言葉に、思わず周りを見渡す。
音楽科と普通科で分かれているからと言って、制服に目立った違いがあるわけではない。
ただ、私たち音楽科のクラスが1-A、B、などとアルファベット表記なのに対して、普通科は1-1、2、と数字で表されている。
……という、それだけの違い。
一人ひとりの顔を見ながらさっきの自己紹介を思い出してみれば、確かに私とこのみちゃん以外に音楽科の生徒はいないようだった。
こうやって科を跨いで一緒に何かをする機会なんて滅多にないから、考えようによっては、もしかして貴重な経験なのかも。
……水無月くんと一緒じゃなかったら、きっとそんなふうに思えたんだけどな……。
なんてそんなことを思ってしまって、私はブンとひとり小さく首を振る。
だめ、だめ!
私が勝手に告白して振られただけなんだから、そんなふうに思っちゃダメだ。
「じゃあとりあえず、どんなカフェにするか決めよー!」
嫌なヤツになりかけた自分に罪悪感を感じていた私は、元気のいいそんなセリフに声の主を見る。


