「……」 大きく、息を吸った。 『友哉から聞いたんだけど、水無月くんも今日来てるって』 さっき、このみちゃんが教えてくれた。 その言葉を思い出して、ゆっくり息を吐く。 ふわり、と。 空気を含むようにピアノに手を置いた。 精一杯の気持ちを込めて弾こう。 キミに、届くように。 私の想いが。 私の、好きの、気持ちが。 どうか、少しでもキミに近づけていますように────。