「……友哉と一緒にするなって!俺はそんなに記憶力よくないから!
えっと、友哉がごめんな。……喋ったことないよね。名前、なんていうの?」
軽やかな声色で、告白を断った時の冷たさなんて少しも感じられないような笑顔で、水無月くんが私にそう言った。
瞬間、ギュッと胸が痛くなる。
……喋ったことがないなんて、嘘吐き。
ごめん、なんて。
本当はそんなこと、これっぽっちも思っていないくせに。
「ちょ、あんた何言って……っ」
このみちゃんが水無月くんに何か言おうと身を乗り出したけれど、私はこのみちゃんの制服の裾を握り、「いいから」と小さく笑った。
「……はじめまして。1-Aの雪岡梨音です」
胸の痛みを誤魔化して、なんとか言葉を返す。
「1-3、水無月航。よろしくな」
水無月くんは、私にというよりは全員に向かって笑顔を向け、爽やかに名乗った。
私の隣で、このみちゃんがわなわなと怒りに震えているのが分かったけれど、それ以上の行動には移さずになんとかそれだけで抑えてくれているみたい。


