自分ではよく分からない。
自分なりには一生懸命練習しているつもりだけど、それがいい方向に進んでいるのかどうかは分からなかった。
今までだって精一杯やってきたんだもん。
急に変わるなんて、無理だ。
……無理だ、けど。
────いい機会だと思った。
今回のクリスマスパーティー。
普通科の生徒に演奏を聴いてもらえる機会なんてほとんどないもん。
演奏に興味はなくても、パーティーのために会に参加する生徒は多いから、きっと水無月くんも参加してくれると思う。
……ねぇ、水無月くん。
私のこと、まだ好きでいてくれますか?
もし、まだ水無月くんにとって辛い音しか弾けなくても、それでもそれが私にとっての全てだから。
少しでも、近づけていたらいい。
水無月くんを想う気持ちが伝わるような、私の「好き」が伝わるような、そんな音に。


