ダンッ、と俺の机を掌で叩きつけ、強い口調で会話に割り込んできたのは、吉倉だった。
いったいいつからここにいたんだ、とまずいちばんに頭に浮かんだのはそんなしょうもないことだったけれど。
だけどそれを口に出す前に吉倉の言葉が強く心にひっかかり、そしてその意味を理解して愕然とした。
「え……、弾けない……?」
雪岡が、ピアノを……。
それって。
俺が雪岡を避けていた理由が、ピアノにあるって知ったから……?
そう思い当たった瞬間、頭が真っ白になった。
……さああ、と冷たい風が直接心臓を撫でたような錯覚。
「……嘘だろ?」
思わず、そう言っていた。
信じたくなかった。
だけど、吉倉はそんな俺の精一杯の懇願を、簡単に一蹴する。
「……冗談でこんなこと、言えるわけないでしょ?」


