それからメンバーが全員そろうと、委員長が前に出て委員会がはじまった。


この学校の文化祭は音楽科も普通科も合同だけど、クラス企画が中心だから一緒に何かするということはほとんどない。


それに、屋台やお化け屋敷、広い教室を使うような大きな企画は優先的に上級生が割り当てられるから、音楽科でも普通科でも、1年生は地味にクラス展示、というのが恒例のようだった。


……水無月くんと委員会が一緒でヒヤッとしたけれど、同じ委員でも普通科とはほとんど関わることがないんだ、と思って安心していた。


……のに。


諸々、仕事の流れを説明した最後に、委員長さんは思い出したように『合同カフェ』なるものの説明を始めたのだ。


その名の通り、普通科と音楽科が合同でやるカフェ、なのだけれど……。


文化祭は校外からお客様がたくさん来るから、普通科・音楽科、両方の科がちゃんと親交深いですよ、っていうところもアピールしたいらしい。


だけど普通はそれぞれのクラスで企画してしまって、合同で何かをするなんて難しいから、実行委員が毎年その役割を買っているそうだ。


委員だって、学年が上がって企画が大きくなればなるほど、自分のクラス以外のことに世話を焼いている暇がない。


だから、この『合同カフェ』は、準備期間も当日も比較的暇な1年生が中心に担当するのが伝統なんだって。