「今日は俺が用事あったから、航には先に行ってもらった」
「へー。用事、もう済んだの?あたしも帰るけど」
トントン、とローファーの爪先を地面に叩きながら訊ねると、あたしが今野くんに向けた視線を迷いなく辿り返すようにまっすぐな視線が返ってきて、思わず首を傾げる。
あたしの質問には答えてくれなくて、だけど視線は強くこちらに向いていて。
なんだか恥ずかしくなって、ふいっと視線を外した。
な、なんで見つめてくるの!?
「……用事あるならお喋りしてる暇ないよね。あたし、行くね!」
一歩、踏み出して。
だけどすぐに隣に感じた気配に足を止めてそちらを見れば、にっこりと笑顔を浮かべた今野くんがいて。
「なに?からかってるの?早く用事済ませてきなよ」
「いやいや、このみんがいなかったら用事済ませられないじゃん?」
じゃん?
……って言われても。
あはは、と軽やかに笑いながら言った今野くんに、あたしは戸惑うしかない。
「もしかして、あたしに用があるの?」
訊けば、こくりと頷かれた。
……なんだ、それならそうと早く言ってくれればいいのに。


