……なんて、思っていたのに。
「前から順に座ってねー」
間延びした先輩の声が教室に響く、放課後。
1か月後の文化祭に向けて、私が所属する文化祭実行委員が初めて招集された。
この委員会は、保健委員や図書委員のようないつでも活動があるものとは違って、本当に文化祭時期だけの活動だ。
だから、春にこの委員会に入ってから早5か月が経とうとしている今日が、今更すぎる初顔合わせ。
同じ委員会といえど、一体どんなメンバーなのか全く知らない。
とはいえ、知ろうと思えば委員会名簿をチェックすることはできたはずで、そうしなかった私を恨んだ。
だって、まさか。
実行委員の集められた教室に、今、いちばん会いたくない人がいるなんて。
水無月が、同じ委員会だなんて。
告白する前だったら、きっとすごくすごく嬉しかっただろうけど、今の私には動揺しかないよ……。
「あちゃー!さてはアイツ、本気で空気読めないんだね!?
無理しなくていいよ、梨音、あたしの後ろに隠れてなよ」
一緒の委員会のこのみちゃんが、任せとけとでも言うように、ガッツポーズをした。


