「……雪岡」
数歩分、離れていた距離。
ゆっくりと一歩、水無月くんが私の方に近づいてきて。
私は思わず、近づかれたぶんだけ、後ずさっていた。
そんな私に、水無月くんは何か言いたげに口を開いたけれど、結局何も言わずにキュッと唇を真一文字に結んでしまう。
……何を言おうとしていたかなんて、一体水無月くんがどんな感情を言葉にすることを我慢していたかなんて、私にはわからなくて。
もっと私を受け入れて欲しいと思うのに、自分から距離を取っている。
私、矛盾してるよね。
自分で自分がわかんないよ……。
「……俺が怖い?」
痛みをこらえるような、絞り出したような声で、水無月くんがそう言った。
……どうして、水無月くんが痛いなんて思うの?
どうして、そんなつらそうな顔、するの……。
────私の心が痛いのは、キミが冷たいから。
それだけだったのに。
「……俺は迷惑だなんてひとことも言ってない」


