音を出したのは、水無月くん。
それは、彼がイラついたように教室にあった椅子を蹴ったからで……。
でも、そこまで強く蹴ったわけじゃないと思う。
蹴られた椅子や、それにぶつかった机が倒れたわけじゃないから。
だけど、椅子と中身の入っていない机がぶつかって大きな音が出た。
……いつも私にだけ、どこか冷たい水無月くん。
私の目を見てくれないし、笑顔で話しかけてくれることもない。
だけど。
どんなに私に冷たくても、こんなふうに感情を乱して、怒りを瞳に宿した厳しい顔で私を見ることなんてなかった。
こんなふうに物に当たる水無月くんを見たのは初めてだった。
どうしよう。
どうしよう。
私にできることは謝ることだけだって思っていたのに。
それすら許してくれないなら、私は一体どうしたらいいの?


