「もし、今、俺が要を助けに行ったら、
あいつは俺に感謝じゃなく恨みを残すだろうな。」



一瞬で廉也から冷たい表情は消え、ポツリと悔しそうに呟いた。




……私は、なんて身勝手な考えを廉也に言ってしまったんだろう。



自分が蒔いた種で誰かを傷つけるのが怖くて……ただ自分のためだった。




……廉也が理由もなく幼馴染を助けないような、冷徹な心をもつわけがない。



だって今、廉也は、助けられない自分を悔やんでいる。




「ごめん……。」



「気にすんな。」




私は、体の向きを変え、廉也の胸に顔を埋めた。



私より、廉也の方が助けたいに決まっているのに。