廉の視線と同様に、龍嵐全員の視線が美愛へと動く。



いきなり自分に注目が集まり、当の本人は助けを求めるように廉を見つめていた。



廉は口を再び開くと、安心させるようにたった一言美愛へ言葉を投げた。




「美愛。」





その一言に、龍嵐内で驚きの息を呑む声が聞こえた。




今まで、美愛以外誰も聞いたことのない、甘い声。



強くて、威厳があって、誰もの憧れで、みんなの視線を独占する総長ーーー



そんないつもでは考えられないほど、優しさと愛情が溢れる 一人の男の声。




半信半疑だった “総長の女” という存在が、今こいつらの中で確信に変わる。