生きたくなかった。


あの時、一緒に死にたかった。




暗闇の中、俺以外の呼吸も心拍も感じない。



死人しかいない中、俺だけが虫の息で生き残った。




それを奇跡と人は呼ぶかもしれない。



けど、俺はそんな奇跡はいらなかった。




「ただ一人だけ生き残ったお前は、確かに孤独だった。死ななかったのは余計な奇跡だったかもしれねぇ。


何時間もそんな絶望の中、ただいきをすることしかできなかったお前が、自分の命に怯え怒り悲しむことは当然のことだ。」



殺気を放ちながら、それでも俺には、相変わらず疑うことすら知らないような信頼しきった声で強く廉は語る。





「それでも、死ななきゃいけねぇ命があるなんて俺は認めねぇ。


死ねねぇことを嘆くな。罪だと思うな。



お前に必要なのは『死ぬ勇気』 じゃねぇだろ。



お前は既に『生きる勇気』を持ってんだ。」