「目が覚めたかい?」 ドアが開くと同時に、二度と聞きたくなかった声が聞こえた。 それと同時に、体が恐怖で満たされる。 あの日と同じだ。 私が鳳凰の姫としてでなく、一人の女として拐われた日。 「あれ?もしかして震えちゃってんの? あー、もしかしてトラウマになっちゃった?俺に拐われること。」 嫌。嫌。 この人だけは嫌だ。 何があってもこの人には、体が恐怖しか覚えていない。 「久しぶり、アイ。」 「九識、敦…………。」 体が異常なほどガタガタと震える。 呼吸が上手くできない。