「最悪……。」
自分の身に何が起こったのか、どういう状況なのか。
全く理解できない。
ただ、これはかなりヤバいことだけはわかる。
周りを見渡せば、いかにも『倉庫ですよ』 という感じでコンクリート剥き出しの壁に囲まれている。
落書きもあるし、お世辞にも綺麗とはいえない。
そんな部屋の中にあるのは、私がいる、場違いなほど新しいベッドだけ。
多分、拉致されたんだと思う。
その感覚に、体が震える。
前の日向の時と同じ。
私にとって拐われるという行為は、恐怖だ。
鳳凰のとき、ある男に一度拐われた。
その時の恐怖を、この体が覚えている。

