悠が取り出したのは、小さな箱。
それを見た瞬間、心が愛おしさで溢れた。
同時に、悲しさも切なさも、一緒に溢れた。
見覚えのある、箱。
私があの街を出る日に捨て、もう二度と開けないと誓ったそれは……
今、パンドラの箱として……ここにある。
「悠、それも交渉材料に使うつもりだったの?」
「一番卑怯な手だとわかってたけどな……俺には、自分を止めることができなかった。」
暴走も止め、自分自身に反省したのか、悠は申し訳なさそうに私を見た。
まるで、昔の……鳳凰のときの悠に戻ったみたい。
來叶の死に囚われ、自信喪失と不安に付きまとわれ……私の前で弱音を吐かないように気を張っていた悠。
それに気付けなかった私も、最低だったんだけど。

