階段に身を隠すようにして、その男は立っていた。



「き、ら……」




「そんなに身構えなくても、俺はまだお前に何もしねえっつうの。」



吉良はふー、とため息を吐くと、私の横に座り込んだ。



吉良は口調に似合わず、派手なことを好まない。




「こうやって話すのも、久しぶりだな。」



「そう、だね。」



吉良はこう見えて、人の心を開くのが上手い。



自分から親身になってくれるから、話しやすい人。




「………正直に話してもいいか?」



それは、私にも正直に話せ、ということだろうか。




「………うん。」



私の返事に、吉良は切なげに笑った。