「コミネモミジ色付いていれば良いわね」
「今回の最大の見所だものね」
皆口々に樹齢約六百年と言われるコミネモミジと呼ばれるカエデを話題にしながらの出発した。
「コミネモミジって?」
陽子が訪ねる。
「行ったことないから知らないんだけど、でっかいらしいよ」
「ふーんそうなんだ。ねえ、行ってみようよー」
翼の腕にしがみ付きながら甘えるように言う陽子。
そのキュートな仕草に胸の奥が締め付けられる。
(あーヤバ過ぎる……)
翼は陽子の魅力の前に途方に暮れていた。
「それではお嬢様。これから参りますか?」
翼は高なる思いをやっと隠して、陽子の手を取り跪いた。
まるでエスコートする紳士のような真似をする翼。
ドキッとした。
陽子のハートが早鐘のように鳴り響いた。
(あー神様! こんな可愛い恋人に巡り合わせて頂きましてありがとうございます)
今いる場所がお寺だと言うことさえ忘れて、陽子は空を見上げた。
やっと落ち着きを取り戻した陽子は、微笑みながら翼に乗った振りをしてその手の上に手を重ねた。
明智寺から出た二人は、何気なく真っ直ぐ進んだ。
でもその道は、セメント工場へ続いていた。
二人は慌てて元来た道へ向かった。
陽子はその道が再善寺への近道だと思っていたのだった。
あの切り丸太の丁字路から繋がる道があるとばかり思っていたのだった。
結局二人はヤマセミの道標を目指して、明智寺手前の丁字路を曲がり真っ直ぐに歩き出した。
「わあ、このカワセミ可愛いわね」
そう言いながらお遍路の一人が道標の前で足を止めていた。
「あれっ、それ確かヤマセミよ」
もう一人が得意そうに言う。
翼は陽子と出逢った日の会話を思い出していた。
丁度其処へ地元の人が通りかかった。
「スイマセン。お伺いしたいことがあるのですが」
翼は思い切って、その人に声を掛けた。
「この道標の上に付いている鳥をヤマセミだと聞いたのですが……」
「ヤマセミ? 違う違う。これはカワセミだよ」
その人は言った。
それを聞いてた陽子がニンマリ笑った。
してやったりと言いたそうな陽子。
小さくガッツポーズの真似をする。
それを見せつけられてシュンとする翼。
事情を知らない通りすがりのおじさんは、二人を見比べてキョトンとしていた。
「今回の最大の見所だものね」
皆口々に樹齢約六百年と言われるコミネモミジと呼ばれるカエデを話題にしながらの出発した。
「コミネモミジって?」
陽子が訪ねる。
「行ったことないから知らないんだけど、でっかいらしいよ」
「ふーんそうなんだ。ねえ、行ってみようよー」
翼の腕にしがみ付きながら甘えるように言う陽子。
そのキュートな仕草に胸の奥が締め付けられる。
(あーヤバ過ぎる……)
翼は陽子の魅力の前に途方に暮れていた。
「それではお嬢様。これから参りますか?」
翼は高なる思いをやっと隠して、陽子の手を取り跪いた。
まるでエスコートする紳士のような真似をする翼。
ドキッとした。
陽子のハートが早鐘のように鳴り響いた。
(あー神様! こんな可愛い恋人に巡り合わせて頂きましてありがとうございます)
今いる場所がお寺だと言うことさえ忘れて、陽子は空を見上げた。
やっと落ち着きを取り戻した陽子は、微笑みながら翼に乗った振りをしてその手の上に手を重ねた。
明智寺から出た二人は、何気なく真っ直ぐ進んだ。
でもその道は、セメント工場へ続いていた。
二人は慌てて元来た道へ向かった。
陽子はその道が再善寺への近道だと思っていたのだった。
あの切り丸太の丁字路から繋がる道があるとばかり思っていたのだった。
結局二人はヤマセミの道標を目指して、明智寺手前の丁字路を曲がり真っ直ぐに歩き出した。
「わあ、このカワセミ可愛いわね」
そう言いながらお遍路の一人が道標の前で足を止めていた。
「あれっ、それ確かヤマセミよ」
もう一人が得意そうに言う。
翼は陽子と出逢った日の会話を思い出していた。
丁度其処へ地元の人が通りかかった。
「スイマセン。お伺いしたいことがあるのですが」
翼は思い切って、その人に声を掛けた。
「この道標の上に付いている鳥をヤマセミだと聞いたのですが……」
「ヤマセミ? 違う違う。これはカワセミだよ」
その人は言った。
それを聞いてた陽子がニンマリ笑った。
してやったりと言いたそうな陽子。
小さくガッツポーズの真似をする。
それを見せつけられてシュンとする翼。
事情を知らない通りすがりのおじさんは、二人を見比べてキョトンとしていた。


