翼が家に帰って来た時違和感を覚えた。
この頃物騒だと言って、忍が玄関に鍵を掛けることを提案したのだ。
『幾らインターホンに映像が出ると言っても、用心に越したことはない』
そう言いながら忍は合鍵を全員に渡したのだった。
だから、玄関が開いている訳がないのだ。
不思議に思って居間を覗くと、ソファーで忍と純子が爆睡していた。
テーブルには四組の紅茶のセット。
翼はハッとした。
「親父が来た!」
翼は青ざめた。
陽子は何時もコーヒーを入れる。でもコーヒーショップのオーナーである孝に出すことを躊躇したのだと思ったのだ。
翼は急いで二人の寝室へと向かった。
(まさか……幾ら女好きな親父でも、息子とその嫁の愛の巣で犯行に及ぼうとは思いたくはないんだが……)
翼は躊躇しながら、寝室の扉を開けた。
ベットの上で陽子は、何事もなかったかのように眠っていた。
取り越し苦労だったかと、ホッと胸をなでおろした。
でも何かが違っていた。
下着が一枚だけ外されて、床に落ちていた。
「ウオーー!」
翼は次の瞬間狂った。
半狂乱になりながら、陽子を風呂場に連れて行ってシャワーで身を清めた。
そして自分も無抵抗な陽子の体を欲望にかられて抱いていた。
鏡に映る翼の姿。
それは夜叉になっていた。
「殺してやる!殺してやる!」
翼は何度もそう叫びながら激しい愛撫を陽子にぶつけた。
汚された陽子の体を自分の愛で清めたかった。
翼は陽子が目覚めるまで何度も何度も発狂する。
そしてその度鬼になった。
一月中旬に受けたセンター試験は翼翔共に合格していた。
後は本番を待つだけだった。
相変わらず翼は必死になって勉強を続けていた。
三月二十三日。東大合格発表の日。
会場で陽子は翼の合格を確認していた。
薫と翔の姿もあった。
陽子は満面の笑みを浮かべた薫を見て、翔も合格したと思った。
翼は既に狂っていた。
合格しても尚、勉強をやめようとしない。
その異様な執念が、陽子に不安を抱かせた。
時々陽子への愛の深さに押し潰されそうになる。
その度孝への激しい憎悪が殺意に変わる。
翼はもう自分を抑えることが出来なくなっていた。
勉強する代わりに孝の殺害方法を考えた。
どうせやるなら完全犯罪。
翼は真剣に親殺しを企んでいた。
この頃物騒だと言って、忍が玄関に鍵を掛けることを提案したのだ。
『幾らインターホンに映像が出ると言っても、用心に越したことはない』
そう言いながら忍は合鍵を全員に渡したのだった。
だから、玄関が開いている訳がないのだ。
不思議に思って居間を覗くと、ソファーで忍と純子が爆睡していた。
テーブルには四組の紅茶のセット。
翼はハッとした。
「親父が来た!」
翼は青ざめた。
陽子は何時もコーヒーを入れる。でもコーヒーショップのオーナーである孝に出すことを躊躇したのだと思ったのだ。
翼は急いで二人の寝室へと向かった。
(まさか……幾ら女好きな親父でも、息子とその嫁の愛の巣で犯行に及ぼうとは思いたくはないんだが……)
翼は躊躇しながら、寝室の扉を開けた。
ベットの上で陽子は、何事もなかったかのように眠っていた。
取り越し苦労だったかと、ホッと胸をなでおろした。
でも何かが違っていた。
下着が一枚だけ外されて、床に落ちていた。
「ウオーー!」
翼は次の瞬間狂った。
半狂乱になりながら、陽子を風呂場に連れて行ってシャワーで身を清めた。
そして自分も無抵抗な陽子の体を欲望にかられて抱いていた。
鏡に映る翼の姿。
それは夜叉になっていた。
「殺してやる!殺してやる!」
翼は何度もそう叫びながら激しい愛撫を陽子にぶつけた。
汚された陽子の体を自分の愛で清めたかった。
翼は陽子が目覚めるまで何度も何度も発狂する。
そしてその度鬼になった。
一月中旬に受けたセンター試験は翼翔共に合格していた。
後は本番を待つだけだった。
相変わらず翼は必死になって勉強を続けていた。
三月二十三日。東大合格発表の日。
会場で陽子は翼の合格を確認していた。
薫と翔の姿もあった。
陽子は満面の笑みを浮かべた薫を見て、翔も合格したと思った。
翼は既に狂っていた。
合格しても尚、勉強をやめようとしない。
その異様な執念が、陽子に不安を抱かせた。
時々陽子への愛の深さに押し潰されそうになる。
その度孝への激しい憎悪が殺意に変わる。
翼はもう自分を抑えることが出来なくなっていた。
勉強する代わりに孝の殺害方法を考えた。
どうせやるなら完全犯罪。
翼は真剣に親殺しを企んでいた。


