私のクラスは彼氏彼女で溢れている……




高校1年生の秋。夏休みも明け、クラスのほとんどの人は彼氏彼女がいた。



「ねぇねぇ!早く美鈴も彼氏作ればいいのにー!」


そんな中この女、佐伯このみは私に言った。



だから私はいつもこう言う



「うーん。私のタイプってきっとこの学校にいないんだよ!だから、作りたくてもつくれないんだぁー」



なーんて、上から目線をしていると



「美鈴ったらそればっかり!
そんなこと言ってたら、いつまでたっても彼氏なんて出来ないからね!?」



「大きなお世話よーだ!」





少なくとも私は別に彼氏が欲しいなんて思ってもいない。



欲しいとも思わないし、第一好きな人もいない。



それなのに彼氏を作れという方がちゃんちゃらおかしい。



それに、気になる人がいなかったわけじゃない。





そう…………





私にだって気になる人くらいちゃんといたんだから……







桜が満開の高校一年生の春



入学式で1人私の目を引く人がいた





背丈は私より少し大きいくらいで

髪は少し茶髪っぽくて、天然パーマがはいってる

男の子なのに綺麗で、髪の色とは正反対の漆黒の眼





私はどうしようもなくその男の子に惹かれた。




しばらくして同じクラスだとわかって本当に嬉しかった。





『きっと素敵で優しい人なんだろうな…』





………………






け・ど

現実はそうじゃなかったのだ………





「美鈴に彼氏が出来たらWデートが出来るのにー」



「まだ言うかっ!小学校からの友達だからってそれ以上は許さんぞ!」



そんなやり取りをしていると



「このみちゃん、無駄だよ無駄。
こんな女もらってくれるって言う男がいる方が不思議だよ」




なっ!!




すると、さっきまで私の隣に座っていた男がいきなり私たちの会話に入ってきた。



「りん!!」

「凛くん!!」



私とこのみは同時に叫んでいた。



この失礼極まりない男は、芹沢 凛。



私の隣の席の男である。



ついでに言うと、この男こそが私が惹かれていた男なのだ。





「こんなガサツな女、付い合いてぇって男の方が珍しいよ」



なんてやつだ……
仮にも女である私に対してそこまで言うか…




「ちょ!凛くん!美鈴は確かにやんちゃだけど、可愛い女の子だよ!!」




凛の発した言葉に対して、すかさずこのみが反論する。




でも、このみの言う通り
確かに私はやんちゃだけど、顔は中々に可愛いとは思うんだけどなぁ。



目だって普通の子よりも大きいし、何より顔のパーツは整っている。




そこらへんの女の子よりは可愛いっていう自信は私にだってあるよ。



「けっ!俺だったらこんな女絶対に彼女にするなんて嫌だね」



「私だってお断りよ!
あんたみたいな女の子を馬鹿にするような奴なんて!!」



「はっ!それはお前だけだから!
俺は可愛い子には基本優しいんだよ」





イラ……





「なによ!私が可愛くないって言うの!?」





「ま、まぁまぁ、2人とも!!」




私たちが口喧嘩していると、このみがそれを止めに入った。



毎日毎日こんなことの繰り返しだ。






私か凛に、彼氏か彼女が出来ればこんなやり取りはしなくてすむ。



なのにお互い彼氏彼女がいない。
このクラスでは珍しい私たちなのだ。




だから私はいつも願う




『早く凛に彼女ができればいいのに…』




…………………と。